チーム・バチスタの栄光

今日のお弁当

の中で憔悴しきった麻酔医が、グッチーに愚痴るシーンがあった。自殺したダンナの親友の麻酔医さんを思い出した。みんなが観てるTVドラマで、今の医療制度の問題点を指摘してくれるのがとても嬉しかった。もっともっとたくさん問題定義して行って欲しい。
「緊急オペの患者なんてギリギリの状態ばかり。ミスでなくても死ぬことはある。いつ自分が訴えられるようなことになるか、内心ビクビクしてますよ」。これは、外科系の勤務医なら誰もが思っている事だと思う。「研修医は使いものになる頃にはみんないなくなる」。これは、2004年度の新医師臨床研修制度のことを意味していると思われる。以前は医学生時代のポリクリ(病院実習)で自分が入局する診療科を選び、卒業(もちろん医師免許取得)したらその大学病院に入局して研修医として働いていた。今は卒業後すぐにに様々な診療科に研修に行き(医療機関も選べる)、それから入局する科を選べる。つまり、忙しい中、苦労して一から育てても、使い物になる頃には労働条件のいい他の医局や病院に行ってしまう可能性が大きい。もちろん、過酷な産科や小児科や外科は減る一方だ。その上、今までは医局員の研修医がやっていた雑務が、ただでさえ忙しい指導医にかかって来る。もちろん、臨床研修の必修化は悪くないと思う。ただ、診療科を選ぶのはポリクリで充分だし、臨床研修するのは卒業後すぐに希望の医局に入局して研修医としてしばらく働いてからでいいのではないだろうか。新制度には様々な問題点があるようだが、この研修医の流出によって大学病院の医局員が不足し、大学側が各医療機関に派遣していた医師を大学病院に引き上げた結果、東十条病院や銚子市立総合病院のように閉鎖に追い込まれる病院が出て来ている。
また、チーム・バチスタの麻酔医はこうも愚痴っていた。「売り手市場だから、最近はフリーでやってる方が稼げるんですよ」。これは麻酔医さん特有の事情のようだ。今年4月の「国立がんセンター麻酔医が相次ぎ退職 手術にも支障」というニュースは、様々な要因があるようだが、「フリーの方が稼げる」という事情も大きいようだ。休日の夜中、夜勤中の後輩からダンナに電話があり、緊急手術をしたいという後輩に「今から俺が行ってもいいが、麻酔科がいないだろう? 辛いだろうがご家族によく事情を説明して、明日万全の態勢でやろう。オペ室の予約入れといてくれ」と言っているのを聞いたことがある。過労死が相次いだ麻酔科医さん達は、自己防衛手段として独自の組合のようなものを作り、仕事の安売りはしない(1オペいくら以下では働かない)というような協定を作ったらしい。だから、フリーになってその組合?から各医療機関に派遣され、オペ一回いくらで請け負った方が稼げる(「医龍」の荒瀬先生みたいに一回100万!というのは誇張だけどね)というワケだ。慌てた病院側は常勤の麻酔科医の給料を引き上げた。それによって他の科は賃下げになったのだけれど、ダンナもその他の科の先生たちも、麻酔科医さん達を責めるような人はいない。医者だって人間だものね。自己防衛は他人事じゃないし…。増してや、(解り易いけど)デビット伊東さんが演ってたみたいな先生はいないよ〜ッ! 外科が花形?だった一昔前はあったのかしら? でも、ダンナが入院中に見聞きした限りでは、少なくともダンナの病院では、消化器外科の先生も含めて外科系の先生はみんなみんな、貴重な常勤の麻酔医さんをとっても大事にしてた。でも結局、その麻酔医さんも辞めちゃったんだけどね…。(;^_^A)
とにかく、経済政策に隠れて、もう何年も叫ばれて来た医療問題の影が薄くなっているのは間違ってると思う。どちらも急務でしょう、麻生さん? もっとショッキングに医療問題を定義するTVドラマがたくさん増えてくれれば、気が付いてくれる政治家さんもいるかしら?
Sea Monkey ^_~*