しあわせのおすそわけ

しあわせのおすそわけ

葉桜さまお勧めのまつおかさわこさんの「しあわせのおすそわけ」を読んだ。「しあわせには気がつかないくせに 不幸にはびんかん」という文章に、ハッとした。小さな幸せや喜びに、敏感になろうと思う。松岡さんはまた、「自分を殺してしまうほど強烈な敵は自分であり、世界一のしあわせ者にしてやれる最強の味方も自分である」と言っておられる。同じ境遇や環境に身を置いていても、不幸になる人と幸せになる人がいる。その違いは、小さな幸せや喜びを素直に有り難いと享受するか、それに気付かず不幸にばかり目を取られ、一人善がりに悲劇の主人公になって殻に閉じ籠るかの違いだと思った。
後者の傾向が強い人は、精神を病むのではないか。
松岡さんはこうも言っておられる。「ひとのいうことに耳をかさず、いつもなみだのヒロインで、けっして努力しない」。そんな状態はいごこちがいいので、自分では気が付きにくい。だから自分からその気になって殻を破れと…。
先日も書いたが、私は会社員時代、同じ職場の先輩に鬱病で長期に休まれ、苦しい思いをしたことがある。大きな会社だったので、健康管理センターの中にはメンタル・ヘルス室があり、臨床心理士が常駐していた。彼女はその臨床心理士に、自分が抑鬱状態になった原因は私にあると訴えた。彼女はいわゆるお局様といわれるベテランで、後輩を虐めて泣かせ、結果辞めさせるので有名な人だった。私も、彼女にイジメ抜かれてロッカー室で号泣している女子社員を、何人も見ている。部が事業本部に昇格し、輸出部門と国内部門に別れた時、彼女と同じ部署になるのではないかと、輸出系の女子社員全員は戦々恐々となった。が、「彼女の下になるのは君しかいない」と、部長に褒め言葉とも皮肉とも取れない言葉で丸め込まれて、何故か私が彼女の部下となってしまったのである。もともとO型で楽天的な私は、彼女のイジメにはへこたれなかった。その上、彼女の旧態依然とした仕事のやり方を踏襲せず、どんどん改善して行った。結果、私の営業成績は彼女を上回り、上司の信頼も私に傾いた。で、彼女は鬱病になってしまったのである。
確かに私のせいかもね…。当初はそう思った。でも、引き継ぎもないからファイルの場所すら解らないまま仕事を丸投げされ、知らない客から「納期はとっくに過ぎてるのに、商品が届かない! 船積書類を直ぐにファックスしろ!(英語)」っと怒鳴られて事業所に確認したら、彼女が製作手配すら掛けていなかった!ことが判明したり、こちらから連絡して仕事について質問しても病気だからと何も答えてくれないのに、傷病手当の請求書(医師の診断書付き)だけは毎月きっちり送られて来たり…。出入りの保険屋のおばさんから彼女が給料補填の損害保険に2口も入っていると聞かされて、彼女は鬱病なんかじゃなく確信犯なのではないかと疑い始めた頃、彼女が久し振りに出社するのでと、そんなヒマないのに課員全員が人事課長と臨床心理士に定時後に呼び出されて、デリケートな鬱病患者への対応の心得を延々と聞かされ…、あぁ会社は元気で一生懸命働いてる社員よりも病気の社員の方が大事なんだ〜っと、心がうらぶれて…。それなのに、出社して来た彼女には、感謝されるどころか「なんでこんな仕事の仕方しちゃったの?」と逆に怒鳴られ…。彼女は療養中でも席はあるので、新入社員を入れるワケにもいかず派遣社員を雇うことになったのだが、一から仕事を教えてもすぐに辞めてしまったり、色んな人がいるからそれはそれで余計な精神的負担となり…。それでも壊れない自分の強靭な精神力を呪ってみたり、いっそ病気になった方が楽!(熱を出すのはたまの休日だけ)っと、これまた強靭な体力を呪ってみたり…。(苦笑)
「●○さんは強いからね。私は弱くてデリケートだから、頑張り屋さんで几帳面で真面目(精神科医はよく鬱病患者をそうオダテるらしい)だから、この病気になったのよ!」と彼女に威張られた時の、自分の存在を全否定されたような悔しさ哀しさは、今思い出しても涙が出る…。で、結局彼女は二年間近く出たり入ったりを繰り返し、傷病手当をきっちり貰い尽くして辞めて行った。その間の私を支えたのは、彼女以外の上司や課員たちの理解と、戦友としての連帯感だけだったと思う。以後、事業本部から同じ病気で長期病欠する人が相次いだ。中には確信犯も居ただろうと思う。その会社以外でも、心の病だと言う人を2人程知っているが、我が儘放題にやっていたのが、急に自分の思い通りにならなくなったので病気になっちゃったみたいな、上記の彼女と似たか寄ったかな経緯で発病している。単なる我が儘病で、鬱病とは違う病気なのではないかと言いたいぐらいだ。
だからだろうか、私は自分の病気を公言して憚らない心の病の人に、正直あんまり理解がない。何をしても病気なんだからしょうがないと開き直ったり、逆に威張っているようにすら見えてしまう。心の病は目に見えないから、告知するしかない? 回りに遠慮してたら病気は治らない? そうかもしれない。でも、自分がそうだと気付かないのが、本当の精神病患者なのではないだろうか? だから、自分からそうだと言う人は、私は信用できない。どうしてそういう人に、精神科医は診断者を書いてしまうのだろうか…? で、自分でも鬱病チェックというのをやってみた。↓

鬱病の心配があります。精神科医に相談しましょう」だってさ!(笑)<ヤバイ?
どんな難病や障碍を背負っていても、松岡さんのように前向きに生きている人はたくさんいる。私だって、母親を難病で亡くしダンナも癌なって「なんで私だけが!」ってな不幸に連続して見舞われた。だけど、普通で当たり前に生きている。肉体は健康なのに、自分を取り巻く幸せに気付かずに、自分だけが悲劇の主人公になって殻に閉じこもり、いつもメソメソしてる。そんな人は、彼女の本を読んで欲しい。私は密林さんの古本屋で1円(送料別)で購入した。
私が尊敬する美智子皇后の大好きな言葉に、

           誰もが弱い自分というものを恥ずかしく思いながら
           それでも絶望しないで生きている
           そうした姿をお互いに認め合いながら
           懐かしみ合い、励まし合って行くことができれば…

というのがある。
「強い人」なんかいない。みんな「弱い」んだ。自分が弱いから病気になった。あの人は強いから病気ならないなんて、自分を美化しないで欲しい。お互いに認め合い励まし合う、同等な立場になれなければ、本当の友人なんて出来やしない。家族にだって愛されないと思う。不幸なのは自分だけじゃない、自分を取り巻く小さな幸せや喜びに敏感になって、自分から幸せになろうよ
Sea Monkey ^_~*