大河ドラマ「天地人」

さくらんぼ@佐藤錦

お中元の季節である。いちいち御礼状を書くのも結構疲れるもんだ。主婦の務めだとは思うが、差出人のダンナの名前の横に「内」と書く時、なんだか複雑な気分になる。「家」とか「様」とか、そういうご身分になってみたいよね〜。と、時々思う。独身時代も総合職でバリバリ働いてボロボロになってた時は、「家事手伝い」っつ〜お嬢様職業?に時々憧れたもんだ。でも結局、無能者に見られるのがイヤで働き続けた。結婚しても、床の間に飾っとくような奥様には成り切れなかった。子供がいないってのもあるケド、家電製品が普及している今、家事だけでは主婦の存在価値が主張できないっつ〜か、尊厳が保たれない(大袈裟#)っつ〜か。それでも完璧には出来ない「家事」という達成感のない永遠のルーチンワークから抜け出す、或いは完璧に出来ない口実を作る為に、家計的には全く必要のない仕事を続けているんだよね、、、私。完全無欠の奥様よりも、きっと贅沢なのかもしれない。そう思うことにしよう。うん。。。そぉいえばこのブログ、今月は一日も更新してなかった。そんなこんな?で、なんとなく忙しかったんだよね。(¬ε¬)ふむ!

密謀(上) (新潮文庫)

密謀(上) (新潮文庫)

上杉三代記 (PHP文庫 し 18-6 大きな字)

上杉三代記 (PHP文庫 し 18-6 大きな字)

上杉景勝本として、上記の二作品を読んだ。藤沢周平氏の作品は上杉鷹山を描いた「漆の実のみのる国」を読んだことがあったが、↑の「密謀」は直江家が抱える担猿(のきざる)と呼ばれる忍者集団と、景勝&兼続主従を軸にした、藤沢氏得意の歴史小説寄りだがフィクション的要素も多い時代小説だ。「上杉三代記」は史実を忠実に追い求めた歴史小説だが、史実に行数を取られるあまり、景勝&兼続の人間的な魅力を描くという点では「密謀」には及ばなかったと思う。だが二作品に共通するのは、「天地人」と違って、景勝は寡黙ながら言うべきことは言うべき時にちゃんと自ら号令するし、家臣への下知ならいざ知らず、天下人への挨拶まで陪臣任せにするような木偶の坊のヘナチョコ(というより、陪臣が赦しもなくいきなり天下人と直接口をきくなんてあり得ない)ではない、ということだ。例えば「密謀」の、「そも、徳川内府とは何者ぞ。内府が押し寄せて来るその時は、上杉の総兵こぞって辛き眼にあわせてくれようと腹をば固めた。景勝、かつて合戦十数度におよぶといえども、いまだ敵に敗をとったことはない。諸子、われを援けよ」(きゃぁ♪)のように。TPOのツボを押さえているからこそ、その言葉には重みと威厳が自ずと具わり、家臣の忠誠と尊敬を集めているのだ。兼続に相談はするが、決断を下し果断に指揮をとるのは景勝だ。兼続は表に出ず、事がスムースに運ぶよう裏で根回しをする。あくまでも「家老」なのだ。家臣としての身分をわきまえ、決して小賢しい出過ぎた真似などしないし、畏れ多くも「殿」と兄弟のように心は通わせても、馴れ合ったりなどしない。「殿」という存在を崇高に保つ為なら、自ら手を汚すことも辞さない覚悟で仕えている。河田実親や栗田国時の誅殺しかり。いい人ブリまくった大河のような人物では、参謀は絶対に務まらない。(笑)
殿とベタベタ馴れ合わずとも、「上杉三代記」の中の新発田重家討伐の段で、追い詰められた重家の「景勝殿、出合え!」との決死の一騎打ちの誘いに「おお」と応えて馬腹を蹴った景勝の手綱を兼続が「なりませぬ!」っと必死で押さえ、重家の最後の武門の意地に応えるべく「放せ!」と尚も一騎打ちに臨もうとする景勝と兼続との押し問答が、歴女としてはカナリ萌えでした。大河は女性の脚本家のくせに、戦国萌えのツボを知らなさ過ぎるのよね〜ッ!o(*≧□≦)oぎゃ〜!
景勝が静かに討死を覚悟した魚津落城前夜の佐竹義重に送った書状のエピソードも、重家討伐の際の三淵の難路に仕掛けられた罠を見破った逸話も、作者の勉強不足(だよ#)のせいか「天地人」はことごとくハズしてしまってる。上記の新発田重家をはじめ、本庄繁長や上条政繁河田長親(出てました?)の扱いも、お粗末&軽過ぎた。佐渡平定もあっさり終わり、これから小田原攻め、朝鮮出兵会津移封、秀吉の死去、クライマックスの直江状&上杉征伐、主従が生涯で唯一意見を異にした「家康追撃に大義なし」に突き進むワケだが、ハッキリ言って全〜然!期待出来ない。美男子の妻夫木さんや北村さんを擁しながら、衣装とメイク(特に髪型#)が悪過ぎてビジュアル的にもちっとも凛々しくも美しくないし。草食系男子の戦国武将がいてたまるかッての# 「天地人」でいいのは、題名とオープニングのテーマ曲だけだワ。(¬ε¬)音楽だけは雄々しいよね!
百万石太平記 (新潮文庫)

百万石太平記 (新潮文庫)

で、今、↑を読んでいる。主役は前田利長さま。家康のイチャモンに対して、前田利長は武門の誇りを捨てて領土を守ったが、喧嘩を買った上杉景勝は武士の面目こそ保ったものの、実に封土の四分の三を失った。どちらが正しかったは判らない。しかし、四十代前半にして早々に隠居を決めた利長が、母(芳春院)の意向に従って武士の誇りを失ったことで長く苦い思いを引き摺り、どこかで景勝を羨ましく思いながら、「上杉殿も別の意味で苦労や辛酸を舐めているだろうな」と、思いをめぐらす場面がある。お互い十代の頃から、偉大な父(義父)に随って戦場を駆けた歴戦の勇士。戦国武将、最後の生き残りである。利長は景勝の七歳年下だが、立場が似ていることもあって、相手を強く意識したこともあっただろう。たったそれだけのことで、萌えてしまう歴女@Sea Monkeyなのであった。(笑)
Sea Monkey ^_~*


P.S.

新上杉戦記〈1〉景勝、義を以って天下に布武す! (歴史群像新書)

新上杉戦記〈1〉景勝、義を以って天下に布武す! (歴史群像新書)

上記二作品はいわゆる「タラレバ物」だが、こうしたシミュレーションに使われるということは、家康に替わって天下を取り得る立場にいた代表格ということで、二人が似通っている証拠だと思う。それに、よく史実を勉強していて、登場人物の言葉使いも現代語過ぎず、自然に古めかしい。大河と違って。(笑) 作者が主人公を心から愛し、思い入れを持って書いてるのがヒシヒシと伝わって来て(これも「天地人」と違って)、内容も痛快だし、やっぱり読んでいて面白い。こんな大型娯楽時代劇があってもいいカモ知れないよネ。(^-~*